2020年5月全国の繊維倒産集計

件数は減少、負債額は2013年9月以来の200億円超え

  • 発生件数22件
  • 負債額=202億8200万円

2020年(令和2年)5月の全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は22件で、前月比で12件(35.3%)、前年同月比で14件(38.9%)それぞれ減少した。

負債額は202億8200万円で、前月比72億7500万円(55.9%)、前年同月比では18億6500万円(10.1%)増加し、単月で200億円を超えたのは2013年9月の255億9200万円以来となった。

当月は東証1部上場の(株)レナウン(東京都江東区、婦人服ほか製造)が、負債138億7900万円を抱えて破たんしたことで、負債額全体を押し上げる形となった。

また、1社単体で負債額100億円を超える倒産は10年以上発生していなかった。

負債額10億円超の大型倒産は他に、㈱アイ・ティ・オージャパン(大阪市福島区、紳士ニットウエア製造ほか、負債額17億円)、㈱ハヴァナイストリップ(神戸市中央区、婦人服製造小売、負債額11億5000万円)の2社発生した。

レナウンはアパレルの名門企業として、ピーク時の1990年代にはグループ連結で年商3000億円以上を計上。世界トップの優良企業であったが、時代の変化に対応できず、長らく経営不振に喘ぎ、近年は中国の山東如意集団の傘下で経営再建に取り組んでいた。しかし、グループ会社に対する多額の売掛債権が回収不能となり、経営面でも親会社との対立が表面化。加えて新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、売上が大きく落ち込んで資金繰りに行き詰まり、グループ会社が民事再生法を申し立てた。

(株)ハヴァナイストリップも一時は好調な業績を維持していたが、近年は売上不振・赤字経営に陥り、新型コロナが最終的な要因となり破たんした。

4月から続く緊急事態宣言で5月も小売業を中心に営業自粛が続き、外出自粛の要請で例年にないGWとなり、レジャー・観光関連も売上は大きく落ち込んだ。「巣ごもり消費」により、一部の食品・生活関連商品で動きはあったものの、国内経済はリーマンショック、東日本大震災を上回る落ち込みとなった。

月後半には首都圏と北海道を除き、緊急事態宣言が解除されたが、感染終息の見通しはまだ立っておらず、消費動向の予想が難しい中、多くの企業は短期間では売上の回復は期待できないとみられる。

持続化給付金、無利息・無担保の緊急融資、雇用調整助成金などの支援策はあるが、これらもすべての企業が対象ではなく、コロナ以前から業績不振・資金繰りに窮している企業の多くは、この厳しい局面を乗り切ることは難しいと思われ、あらゆる業種で経営を断念する企業が多発する可能性がある。

業種別では「小売商」10件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」7件、「織物卸」2件、「織物製造」「ニット製品・洋品雑貨製造卸」「その他」各1件。 原因別では、「業績ジリ貧」が18件で81.8%を占め、他は「業況急変」4件。

2020年5月東海・中部の繊維倒産集計

東海4県下の発生はなし、中部9県下でも2件にとどまる

東海
  • 東海4県(愛知・岐阜・三重・静岡)
  • 発生件数=0件
  • 負債額=0

東海4県下の倒産件数は、前月で3件、前年同月で1件の発生がみられたが、今年5月の発生はなかった。

先月は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大型倒産が発生。(株)ラビアンローゼ(静岡県浜松市、貸衣装ほか、負債額24億9900万円)の民事再生法申請で、5月も引き続き新型コロナ関連の影響に伴う売行き不振、受注キャンセルなど「業況急変」を要因とする破たんの増加が懸念されたものの、政府の支援対策や裁判所の法的手続き処理の一時停止などもあってみられなかった。


中部
  • 中部9県(愛知・岐阜・三重・静岡・長野・富山・石川・福井・滋賀)
  • 発生件数=2件
  • 負債額=6400万円

中部9県下の倒産件数は2件で、前月比6件減少、前年同月比では同数となった。

負債額は6400万円で、前月比28億7800万円(97.8%)の減少となり、前年同月比では1400万円(28.0%)の増加となった。

業種別ではいずれも「小売商」。原因別ではいずれも「業績ジリ貧」となっている。

東海4県以外では富山、福井で各1件発生した。

(有)レディース・ファッションありかわ(富山市、婦人服・子供服小売、負債額1400万円)は、ミセス向けの婦人服を中心に子供服も扱い、住宅街にて周辺住民を対象に販売していたが、地域の過疎化とともに商況が悪化していたほか、代表者が高齢で債務の返済も円滑に進まず、事業継続を断念した。