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パラダイムシフト No.933

「無印良品」を展開する良品計画は、昨年7月から試験的に行っていた家具レンタルの月額定額サービスを、1月15日から全国182店舗で本格展開している。

商品は脚付マットレス(ベッド)やテーブル、チェアなどシンプルなものばかりで、1年~4年までの期間を指定できるプランを提案している。面白いのが料金設定で、販売価格2万7900円の脚付マットレスは1年契約なら月額2140円、4年契約なら同560円。1年契約で総支払額2万5680円、4年契約で2万6880円と1年借りるのも、4年借りるのも1200円しか変わらない。また販売とレンタルの価格差は1年で2320円、4年で1020円しかない。

この点をみると、1年借りるよりも4年借りたほうが得じゃないか、いやいや買った方がいいじゃないか、借りるメリットはあるのか?と、一見すると、このビジネスモデルの狙いは見えにくいが、一部の消費者には魅力的な提案にちがいない。

家具は消耗品である。マットレスの内部はスプリング構造だが、人が寝ているときは常に荷重がかかり、経年利用で腰の部分がへこんでくる。困るのが廃棄で、特に脚付マットレスのような大型家具の処分には自治体の大型ごみ処理を利用する方法もあるが、家から指定された場所に搬出せねばならず、一人で運ぶのは大変だ。だからといって不用品引取業者を呼べば、数千円の手間賃が加算される。よって、特に大学生などは4年契約で借りたほうが、4年後の処分価格込を考えると買うよりも得といえる。

また良品計画は、返却された家具はパーツ交換などのメンテナンスをして再び定額サービスで利用するか、中古品として販売する予定で廃棄削減にもつなげる。今求められる環境に優しいサステナブルな取組みでもあり、消費者の共感も得られるだろう。

私たちは、家、車、家具など生活に必要なモノの所有、ひいてはより良いモノの所有、より質の高いモノの所有に価値を見出し、それを得るためにローンを組み、自由時間を削り働くことも厭わなかったが、ここに来て従来の常識を覆す“パラダイムシフト”が起きている。無理して所有しなくてもいい、そのとき必要なものを必要な分だけ利用する生活でいい。そうすればローンや労働に追われる生活を送らなくてもいいと ―― 。

そんな考えの広がりを背景に、この家具レンタルのようなビジネスモデルへのシフトも求められている。