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「知ること」 No.903

米国では、2月最初の日曜日は感謝祭に次いで食料品が消費される日だそうだ。日本では節分の恵方巻で盛り上がっていたが、海の向こうでは、米国最大のスポーツイベント「スーパーボウル」の開催で湧いていた。スーパーボウルとはNFL(ナショナル・フットボールリーグ)の優勝決定戦のこと。日本ではあまり馴染みのないアメリカンフットボールだが、米国では人気のスポーツ。特にスーパーボウルが開催される2月第一日曜日は「スーパーボウル・サンデー」と呼ばれ、家族や仲間が集まりテレビ観戦して楽しむ祝日のような日。スーパーでも観戦用スナックがたくさん売り出される。

毎年全米最高の視聴率をマークし、1億人以上が視聴するというテレビ中継は、CMの波及効果も大きく広告業界にとっても一大イベントとなっている。広告料金も世界最高で、30秒枠でなんと525万ドル(約5億7600万円)とのことだ。スポンサーも視聴者の記憶に残るCMを作ろうと、著名な映画監督や有名俳優を起用するなど、様々に趣向を凝らしている。

これらはスポンサーの公式サイトや動画閲覧サイトで視聴可能だ。さっそくいくつかを見てみたが、スーパーボウルのCMは初めてというワシントンD.C.の新聞社「ワシントン・ポスト」のCMが心に残った。第2次世界大戦から現在に至る重大事件の画像からはじまり、取材中に命を落としたジャーナリストたちの姿が映しだされるというシンプルなものだが、そこに映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017年)でワシントン・ポスト紙の名物編集長を演じたトム・ハンクスのナレーションが入る。

「――隣人が危険にさらされているとき、国家に脅威が迫っているとき、事実を集める人がいます。その話を知らせるために、どんな犠牲を払っても。なぜなら、知ることが私たちに力を与え、何をするか決めるのを助け、私たちに自由を与え続けるのです(抜粋・要約)」―― そして、「Democracy Dies in Darkness」(民主主義は暗闇の中で死ぬ)という同紙のスローガンで終わる。危険な場所であろうと取材に行き、勇気を持って仕事を続ける記者やジャーナリストの存在がいかに重要で、それによって私たちが知ることができる事実がどれほど大切かを伝えてくれるメッセージだ。

報道の自由が危機に瀕しているいまだからこそ、知ることが自由を守るということを忘れてはなるまい。ぜひ映像でご覧になることをお勧めする。