コラム


 行 列  No.548
 ヤマダ電機が先週25日、名古屋駅前に都市型店舗「LABI名古屋」をオープンさせた。開店セールの格安商品を手に入れようとする客が午前5時から並び、開店時刻の10時には7000人もの行列が出来たそうだ。先々週のユニクロ「創業感謝祭」や先月の「iPhone4S」発売でも、時には前夜から客が並ぶ様子がニュースになる。

 テレビ番組「行列のできる法律相談所」は司会・島田紳助の突然の引退後、視聴率がやや落ちているが、ネット上では「行列のできる健康相談所」「行列のできる職務経歴相談所」「行列のできるパチンコ相談所」など意味不明のものまで含め「行列」流行りだ。中には「行列のできる図書館の作り方」などという研修会のレジメまであった。

 「行列」ができるのは、心理学的にいうと「同調行動」が働くからだ。目当てとする商品・サービスに、必ずしも絶対的な魅力がなくたって、「行列」はできることがある。なぜなら、「社会的な動物である人間は、集団の行動に同調していると安心する。だから、行列を見るとつい並んでみたくなる。人が人を呼び、ドミノ式に人数が増えていくのだ」と心理学カウンセラー・上則直子氏。「行動感染」と呼ばれる現象である。

 その「行動感染」を1950年代に実験で証明したのが、米国の心理学者ソロモン・アッシュだ。8人1組で構成した被験者グループに、明らかに長さが違う線を描いた2枚の紙を見せ、どちらの紙の線が長いかを順番に答えさせる。1回目、2回目は全員が正しく答えるが、3回目には、実は8人中の7人がそうだった“サクラ”が、わざと答えを間違える。すると、実は8人中1人だけだった本当の被験者まで、躊躇しながらも、多数を占めるサクラたちに同調し、間違った答えを口にするケースが35%も見られたという。堅苦しく表現すると「集団内の少数者は、多数の圧力に屈する」ということ。

 「美味しい」と評判のラーメンを、行列に並んで1時間も待ち、やっと食べた。しかし、食べてみると、自分はそれほど美味しいと思わなかった。けれど、「並んだ」という認知と「美味しくなかった」という認知が矛盾すると、人間は不快になる(=認知的不協和)。でも「並んだ」という事実は変えられないから、「美味しくなかった」という認知のほうを修正し、「美味しかった」と思い込もうとする、ものなのだそうだ、人間は。言われてみると、黙っていたけどそんな経験が、これまであった気がしまいか。

 相場の格言に曰く、「意見を聞くなら1人だけ」。「行列」に、並ぶ前に考えよう。

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