コラム


名門がまた1社・・・ No.217
 尾州毛織産地からまた1社、名門企業が姿を消した。

 婦人服地卸の丸村(一宮市)――負債は、割引手形の落ち込みなどで最終的には65億円内外にとどまりそうだが、それでも純然たる繊維企業としては3月のウルシハラ(香川県東かがわ市、手袋製造)の49億円を大きく上回る今年最大の倒産になった。

 大正10年創業の老舗というだけではない。16/3期で90億7000万円という年商は、尾州・婦人服地卸業界のトップクラス。これまでその動向が、とりたてて深刻に注目されることはなかった。在庫が多いとか、借入れが多いとかの問題点を指摘されはしたが、他方で背景資産にまだゆとりがあるとか、預貯金もまずまずなどといったプラス評価と相殺する見方をされていたからだ。

 それが5月月25日過ぎ、「給料遅配」の情報が漏れ出して以後、にわかに動向が注目され始めたのもつかの間、一気に、それも民事再生ではなく、いきなり自己破産という最悪の結末を迎えることになった。振り返ればほぼ3年前、やはり75億円の負債を抱えて自己破産したかつてのライバル企業コロナの破綻に姿を重ね合わせ、その後も止まらぬ産地の地盤沈下を嘆く関係者は少なくない。

 「再建の道筋を探る努力はした」と、1週間前から相談を受けたという申し立て代理人。「しかし、最近の受注不振もさることながら、もともとこれまで、公表数字とはかなり開きのある、無理な決算を作っていたから」とも認めた。それゆえ「実態」を明らかにしてなお今後も取引関係先、とりわけ金融機関の支援を得るのは困難との最終判断に至ったようだ。

 その「実態」が、実はどんな問題点を内包したものだったのかは今後、清算作業が進む中で明らかにされて来ようが、かつて傍系会社を吸収した際、ウミを出し切らず大量の不良在庫を抱え込んでしまったことや、経営陣内で意思疎通を欠いていたのではないかなどといった話も、洩れ伝わってくる。

 いずれにせよ、「同業者の脱落が、昔なら、正直言って<フォローの風>にもなり得た。しかし、いまはそんな時代じゃない。むしろ、ただでさえ尾州に厳しい与信の目が、さらに厳しさを増しはしないかと憂慮している」と、ある同業者。

 表面を糊塗し、問題を先送りすることが招く恐さは、大企業ばかりではない。

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