
| 投資家が、ネット掲示板で怒っていた。10月28日民事再生法を申請した名証2部上場の老舗醤油メーカー・サンビシ(愛知県宝飯郡)に対して。グループの資産運用会社を通じて行なっていたデリバティブ(金融派生商品)取引に失敗し、最終的に本体が9月中間決算で20億円の債務超過に陥ることになり、自立経営が不可能になった。 本業が、赤字だったわけではないが、伸び悩んでいた。そこで着手した事業の多角化を、不動産・住宅販売など「実業」の範囲に止めておけばまだよかったかも知れないのに、マネーゲームにまで手を出したのは、老舗の伝統ある「のれん」を背負った代表者の「焦り」だったのだろうか。 しかし、「関連会社への貸付金は15億円まで」と決めた社内規定を無視して46億円も注ぎ込んだばかりか、貸借対照表上その実態が見えないように細工していた疑いもある。代表者の、道義的のみならず法的責任を問われて当然だろう。 日本の食文化を支えてきた醤油。しかし、昭和30年には全国で6000を数えていた工場数は、平成16年には1509工場(日本醤油協会調べ)と4分の1にまで減った。生産量も平成元年の120万キロgをピークとして漸減傾向に転じ、16年は前年比2.8%減の95.3万キロgにとどまっている。 3つの要因がある。第1は、言うまでもなく「食の洋風化」が進んでいること。第2は「だしつゆ」「めんつゆ」など手軽な二次加工調味料を使う消費者が増えていること。第3は、海外生産による輸入加工食品も増えていること。加えて、「キッコーマン」を頂点とする大手5社で50%近い生産シェアを占める寡占化の勢いが衰えず、業界は激しい価格競争を伴いながら選別・淘汰の時代を迎えている。 このため、東海地方ではサンビシと並んで消費者に親しまれているほぼ同規模の老舗・サンジルシ醸造(桑名)が、業界大手のヤマサ醤油(本社東京)に営業を譲渡、名前だけとはいえ「のれん」を残す道を選んだのはつい先月のことだった。4年前、同様に地元では著名な加賀屋醤油(徳島県)、マルキン忠勇(香川県)が盛田グループ(名古屋)の傘下に入ったのも同じ背景がある。 各社が伝統の「味」と「のれん」をなんとか守り、残そうと悩み、苦しんでいる中で、最も安直な道を選んだサンビシに、名乗りを上げている支援スポンサーは、まだない。 |
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