先月末、ブリッヂ(大阪市、婦人靴卸、負債4億7000万円)、神谷(大阪市、婦人サンダル卸、負債8億円)、ピノキオシューズ工業所(神戸市、婦人靴製造、負債2億円)、フジシューズ(神戸市、婦人靴製造、負債1億5700万円)と、関西地区で靴業者の破綻が相次いだ。このほかにも、今年に入って、石井シューズセンター(熊谷市、負債11億3000万円)やサパテリーヤ(仙台市、負債4億1200万円)など、地元で知名度のあった小売店が倒産した。 名古屋の靴のマルトミが民事再生法を申請したのは2000年12月。急激な多店舗展開が裏目に出たのが原因だ。その後、三菱商事と米投資ファンドが支援に乗り出し、社名を「ワンゾーン」に改称して、昨年12月に再生手続きが終結した。 そのワンゾーンを、3月3日付で子会社にしたファーストリテイリング。柳井正会長がワンゾーンの会長に、営業部長の桑原尚郎氏が社長に就任し、全国に330あるチェーン店を傘下におさめて靴小売業に参入する。 ファーストリテイリングは、2010年までに「グループ年商1兆円」を目標に掲げている。これまでは英国や中国など海外進出が先行していたが、これを機に、ファッション事業の多角化戦略を本格化させる。同社はワンゾーンをSPAに転換する考えだが、これが順調に進めば、現在は、「ユニクロ」ブランドとして品目を絞り込んで提供している靴の共同生産が可能になるなど、買収による相乗効果が期待できる。 ただ、ある大手靴メーカーは、「300店の需要動向に合わせた適時生産を実現するには、最低でも2ヵ所の生産工場が不可欠」と指摘しており、SPAを成功させるためには、クリアしなければならない課題が多いことも確かだ。 企業が成長するためには、質の高い製品やサービスを提供するのはもとより、新規参入や事業提携も一つの手段だ。しかし、なぜそうするのか、そして、その結果どうなるのかというビジョンが、社員にも取引先にも、そして株主にも分かりやすく、納得できるものでなくてはならない。連日繰り広げられている著名企業の攻防が、それを強く印象づける。 その意味では、「ユニクロ」の靴小売業への新規参入は、少なくとも、昨年わずか1年半で撤退した野菜販売よりは、説得力がありそうだ。 |
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