倒産用語

法的整理は再建型(会社更生法・民事再生法)と清算型(破産・特別清算)に大別される。

会社更生法

経営が行き詰まりつつあり、再建の見込みがある株式会社について、債権者などの利害を調整しながら更生するための法的整理。
倒産法制における位置づけとしては、再建を目的とする点で、民事再生と共通し、清算を目的とする破産と異なる。一方、株式会社だけが対象となるという点で、破産、民事再生とは異なる。また、会社更生法のみが、他の破産手続きと異なり抵当権・質権といった担保物権について別除権を認めず、更生手続き中の担保権の実行は禁止又は中止となる。
民事再生法との違いとしては、担保権者や株主についても更生手続の対象となることなどが異なる。
申請権者は債務者本人、資本金額の10分の1以上を有する債権者、総株主の決議権の10分の1以上を有する株主である。

民事再生法

2000年4月に試行。資産の劣化や取引先、従業員の離散を抑制、早期の再建を促すための法的整理。
手続を利用できる債務者の範囲については法律上の制限はなく、個人、株式会社その他の法人などが利用できるが、主として中小企業の再生に用いられることを想定している。しかし、上場企業その他の大企業なども利用している。従来の経営陣が事業の経営権を喪失し、管財人がその経営に当たる会社更生法と違い、経営陣の刷新は、法律上必須ではない。
申請権者は債務者本人、債権者(破産手続開始の原因となる事実が生じる恐れがある場合)。

破産法

破産法は、再建型でなく清算型の整理法。債務者である倒産会社の財産をすべて換価し、これを債権者の優先順位と債権額に応じて配当を行う強制執行手続きである。
大きく3つの形態があり、債務者である倒産会社自身が申し立てる「自己破産」、会社役員が自分の会社の破産を申し立てる「準自己破産」、第三者である債権者が申し立てる「第三者破産」に分けられる。
申請権者は債務者、債権者、取締役。財産の管理者は破産管財人である。

特別清算

清算企業の資産の公平な分配を目的とする。適用対象は清算中の株式会社のみの法的整理。
特別清算は、解散して清算中の株式会社が債務超過の疑いがある場合に清算人が裁判所の監督のもとに清算手続を行う。
清算会社は資産と負債をゼロにしなければ清算が終了しない。債務超過でない場合は債務を弁済して負債をゼロにして残余財産分配の手続きをとればよいが、債務超過の場合は債権者から一部債務免除を受けて債務を減らさなければ清算は終了しない。
特別清算では、債権者の多数で可決し裁判所の認可を受けた協定(返済案)が全債権者を拘束するなど、清算しやすい手続を定めている。
破産に比べて、手続が厳格でなく進行は速く、債権の優先順位は、破産と同様に扱われる。
破産では破産宣告前に生じた債権は労働債権も含めて全て支払い停止になり、配当という形で返済されるが、特別清算では少額債権や優先権のある労働債権は裁判所の許可を受ければ迅速に支払を受けられる。
申請権者は清算人、債権者、株主、監査役(資本金1億円超)で、財産の管理者は特別清算人である。

任意整理

任意整理とは、まだ自己破産をするほどの状況ではないが、そのままでは自転車操業に陥ってしまうような場合に最適な債務整理方法のひとつで、弁護士が依頼者に代わり各債権者と交渉し,多重債務者が約3年間で多重債務をなくすことが出来るように、返済額や返済期間について各債権者と和解をする。
任意整理は、債務整理(特定調停)によく似ているが別のものである。これは特定債務者が、何かの都合で簡易裁判所に出頭できない場合や、貸し主との和解交渉等の法的な手続きを全て、弁護士や司法書士などの専門家に任せたいといった場合に取られる方法である。
また特定調停は簡易裁判所の調停委員会の元で、借り主と貸し主の話し合いが行われるのに対し、任意整理は裁判所が関与せずに貸し主との話し合いが行われるといった違いもある。