コラム


 体質改善  No.545
 天高く馬肥ゆる秋――。馬だけでなく人間も太りやすい季節。夏は、暑いというだけでエネルギーを自然に消費するが、涼しくなってきたこの頃は、運動をして自ら体温を上げないと汗を掻かない。そのため、夏に比べエネルギーの消費量自体が減ってしまう。

 消費量より多い摂取量は「脂肪」として体内に蓄積される。過剰な脂肪は、血管を圧迫し、血の流れを悪化させ、万病の原因になる。そこで、病気になってからでは遅いと一念発起し、ダイエットを目的にフィットネスクラブの門を叩く。

 インストラクターは最初に話してくれる。「週2回程度の運動で充分。3カ月もすれば身体は変わる」と。想像以上に軽い運動ノルマに「これなら続けられそうだ」と安堵する。ただし。ダイエット目的で訪れた場合には続きのひと言があり、それが重い。「炭水化物の摂取を極力控えてください」

 炭水化物といえば米。白米こそが「ご飯の友」のような日本人にとって、これがなかなかやめられない。ダイエットに不可欠な毎日の食事改善は、運動よりも苦しい。クラブ通いで身体能力は徐々に向上していくが、肝心の体重は一向に減らない。そのため、大目標である脂肪燃焼ができないまま、クラブを去る。

 震災後初めての秋――。震災の影響は徐々にだが薄れ、消費市況も持ち直しの気配を見せている。だが、わが国に定着したデフレ市況に加え、止まらぬ円高が経営を苦しめる。不況に晒された企業は、いい時代に借りた資金や保証融資、繋ぎ資金で、借入金という名の「脂肪」をたっぷり身に付けている。

 過剰な借り入れは収支バランスを圧迫し、カネの流れを悪化させ、倒産の原因になる。そこで、不渡りを出してからでは遅いと一念発起し、経営改善を目的に経営コンサルタントの門を叩く。

 コンサルタントは最初に話してくれる。「借金を無理に返そうとせず、返済計画を見直せばいい」と。しかし。これまた続きのひと言が重い。「固定費を削り、決算上で利益を出してください」 人を減らし固定費を削減できても、少人数で売り上げを維持し、利益を出すのは至難。そのため、大目標である経営改善が果たせないまま、市場を去る。

 身体も企業も、一度ついた余分な脂肪はそう簡単には落とせない。相当の覚悟と意識改革が必要 ―― つまり、余分な脂肪をつけない日頃の行いが何より大事ということだ。 

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