コラム


 地球の「定員」  No.544
 世界の人口が10月31日、70億人に達したそうだ。それを記念して国連人口基金は、この日生まれた赤ちゃん(推定では日本で約2900人、世界で約21万人)に「あなたは70億人目の赤ちゃんの1人」という認定証を希望者全員に発行する。ただ、米政府は「まだ3000万人足りない。70億人突破は2012年3月」とする一方、「もうとっくに70億人を超えている」とみる学者もあるらしい。つまり、現実的根拠はかなり怪しそうなこの話を、マスコミのほとんどがなぜトップニュース扱いで報じるのか不思議だ。

 ともあれ700万~600万年前のアフリカで、人類は類人猿から進化し誕生した。その後、紀元前8000年頃=500万人、西暦1年頃=3億人、1650年頃=5億人、154年後の1804年=10億人、123年後の1927年=20億人、32年後の1959年=30億人、15年後の1974年=40億人、13年後の1987年=50億人、12年後の1999年=60億人、さらに12年後の今年=70億人というのが、諸説ある中でも有力な世界人口の推移だ。第二次大戦や世界各地で虐殺事件が起きた60年代以降、人口増加が加速しているのは皮肉だ。

 では今後、世界人口はどこまで増えるのか? 国連社会経済局人口部は、現在程度の出生率を前提に2050年=93億人、2100年=101億人と予測するが、他方で2045年=81億人をピークに減少に転じ、2100年には62億人になるとの見方もある。

 「世界人口白書」日本語版を監修した早稲田大学の阿藤誠特任教授は、「世界の人々が富を分かち合い、食糧やエネルギーの過剰消費を抑えれば、100億人程度は何とか地球上で支えられる」と分析する。それが地球のいわば「最大積載人口」であり「定員」なのだろう。ただし、国連食糧農業機関が算出したように、全人類が「米国的な食生活」を享受しようとするなら、地球上で生きられる人間は23億人にとどまり、「欧州的生活」なら41億人、「日本的生活」なら61億人、「バングラディシュ的生活」なら109億人、「生存ギリギリの最低生活水準」なら150億人とする試算もある。

 ネット記事の請け売りで恐縮だが、米国やイスラエルなどの研究者グループが2008年の学術誌に発表した説によると、人類は7万年前、世界で2000人にまで減少した形跡があるそうだ。人類がまさに「絶滅危惧種」の危機に瀕したその理由は触れられていなかったが、しかしその危険性と日々背中合わせに生活しているかも知れないことを、私たち日本人はいま、原発事故の怖さや影響の広さから、薄々感じているのではなかろうか。

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