コラム


  客家の教え   No.480
 出所を思い出せないのだが、テレビの長寿番組には2つの特徴があると聞いた記憶がある。1つは内容が比較的地味で、むしろマンネリ的な番組であること。2つめは、番組タイトルの最後に「ん」が付くことだと。どれどれ? 「水戸黄門」「暴れん坊将軍」「大岡越前」「笑点」「のど自慢」「サザエさん」「ドラえもん」……なるほどね。

 そんな長寿番組のもう1つに毎週土曜日夜9時放送、草野仁さん司会のクイズ番組「世界・ふしぎ発見!」(TBS系列)がある。1986年4月の放送開始から24年3カ月余、1154回目を数える先週は「世界が注目! 中国・客家(はっか)の秘伝」を放送していた。

 「客家」――唐代末期から清代初期にかけ、戦乱を避けて広東省、福建省、江西省などの山間部に移り住んだ漢族の一部の人々。先住の人たちから見れば「他所者」に当たるのが「客家」と呼ばれる所以だが、彼らは一族ごとに、まるで砦のように堅固な集合住宅「土楼」を造り、現在もそこで、独得の言語や伝統を守りながら暮らしている。
 番組がとくに注目したのは、一族ごとに先祖から伝わる、彼らの生活の知恵、とりわけ格言=「客家の教え」の数々だった。たとえば、▽事を行う前に、まず人として立派であれ ▽大事はできるだけ小事に、小事は無かった事にせよ ▽自分の子を叱れば、近所の子が育つ ▽先祖の畑は売ってもよいが、先祖の教えは失うな ▽兄弟仲が悪い者は、人の付き合い方を知らない ▽お喋りを慎めば、借金はできない――等々。

 実在の人物かどうか定かではないが、表紙の帯書きには「大学卒業後、外資系金融機関に就職し、金融・債券先物の分野で活躍。その際に稼いだ資金で飲食店経営などに進出。事業が困難な局面に達したとき、不思議な縁で客家の老人に出会い、ビジネスの極意を伝授された」と書かれている甘粕正氏の著書「客家大富豪 18の金言」も、事業家やビジネスマンにとっては一読の価値があると思う。

 それぞれが「章」にもなっている「18の金言」とは、▽運は親切をした相手の背中から来る ▽許すことを知れば運命は変えられる ▽退却は重要な才能なり ▽何を始めるかに最も時間を費やすべし ▽ビジネスには大義名分が必要なり ▽準備していなかったチャンスはリスク ▽小さい約束こそが重要なり ▽家族を蔑(ないがし)ろにする者は成功せず ▽お金に使われず、お金を働かせるべし ▽50人の仲間が成功の核心となる……おっと、途中で紙幅が尽きてしまった。あとは夏休みにお読みになってはいかがか。

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