コラム


  さまざまな「3K」   No.466
 なぜそれらの頭文字が「K」で共通するのか理由は分からないが、昔から「3K」と称される言葉が多い。かつての日本の国家財政に巨額の赤字をもたらした元凶は「国鉄・健康保険・米」の「3K」だったし、女性が結婚相手に求めた「3K」は「高収入・高学歴・高身長」。後者には「顔・金・車」の「3K」まで付帯条件になった。

 バブル経済時代初期に言われた「就職したくない業種」の「3K」はご存知の通り「危険・きつい・汚い」。ITサービス業界では「きつい・帰れない・給料が安い」の「3K」が敬遠された。そして昨今話題になる「草食系男子」の特徴は「小ぎれい・こだわる・枯れ気味」だそうだ。

 鳩山政権が「輝きある日本へ」をテーマに掲げた2020年までの10年間の経済成長戦略の重点分野は「環境・健康・観光」の「3K」。ところが、内閣はいま「景気(経済)・基地問題・金(偽装献金問題)」の「3K」に翻弄され、10年後どころか7月の参院選挙の情勢さえ極めて厳しい見通しが囁かれている。

 消費生活面では、かつては「かわいい・カッコいい・気持ちいい」の「3K」が商品選びのキーワードとされた。しかしデフレ経済のいま、日経新聞が連載ルポ「『手探りの回復』 デフレ時代の3ケン消費」(3月31日付)で最近の消費行動の特徴としてあげた「3K」は「堅・賢・嫌」だ。いわく「次の買い物に使えるポイントより、いまの値引きに飛びつく“堅”実さ」「余分なおカネをかけず楽しむ“賢”さ」「収入に見合った支出さえしない『“嫌”消費』層の台頭」の「3K」。

 とくに80年代前半生まれの「バブル後世代」は、バブル崩壊という日本経済の劇的変化を体験した教訓から、「急いで買ってしまって後悔することや、将来の負担になりそうなリスクを回避しようとする意識が極めて強い」と「『嫌消費』世代の研究――経済を揺るがす『欲しがらない』若者たち」の著者・松田久一氏は指摘する。そういう彼らが買おうとしないのが「車・家電・海外旅行」の、これまた「3K」だ。

 社会、経済、消費の各分野でさまざまな「3K」が浮かんでは消え、再び現れる。そんな時代の変化にどう対処し、乗り切っていくか――経営者が心に刻むキーワードもまた「希望・工夫・感動」だったり、「感謝・謙虚・寛大」だったり、あるいは「経験・勘・根性」だったりという、人それぞれの「3K」なのかも知れない。

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